ご本人が見学に同席できないときに気をつけたいこと
私たちウィルホームコンサルプラザにお寄せいただく入居相談は、入居を検討しておられるご本人から直接いただくケースもありますが、割合としては「要介護者」であるご両親やご兄弟、配偶者などについてのご相談を、「介護者」であり在宅等で身の回りのお世話をされているご家族からいただくことが多くなっています。
ご入居されるのはご本人ですから、たとえ要介護のご状態であっても見学にご一緒いただき、「3件見た中では一番最後に見学した〇〇ホームが一番よかった」などご本人からの評価を踏まえて入居先を決めるのが理想ですが、入院中の場合など見学にご本人が見学に同行できないケースもあります。
そんなときに気を付けておきたいことをまとめてみました。
アポを取り、担当者・責任者がいる日に見学
ご本人が見学に来られないのですから、ホーム側にもご本人のご様子を見ていただくことができません。例えば入院中で見学にご本人が同席できないというケースなら、入院に至った経緯や現在の病院でのご様子、退院後についてのご本人・ご家族の意思、入居にあたってご本人が希望されていることや懸念材料などの情報は、ご家族が口頭でホームに伝えることになりますが、問題は情報を受け取るホーム側がその情報を咀嚼し、消化できないといけないことです。それはホームの担当入居相談員やホームの責任者である施設長が役割を担っています。
ホームの入居相談員は複数の担当施設を持っていたり、事業所や病院まわりなどで当該ホームに不在のこともあります。また施設長もシフトに基づいて勤務していますので見学に行ったらお休みだったということもあります。
ご本人不在の見学時に限ったことではないのですが、家族だけで見学に行くときにはなおさら、事前のアポと担当相談員・施設長のスケジュール確認を忘れないでください。
見学に行く時間を選ぶ
これも実はご本人不在時の見学に限った話ではないのですが、昼食の時間に合わせた見学がもう一つのポイントです。
ご本人のお身体の状態や年齢、性別などを踏まえ、昼食時の食堂を見学するのです。近い方がどの程度いらっしゃるのかいないのか、確認してみましょう。ご本人がお話好きな方なら、楽しく会話を楽しんでいる同年代の入居者が多くいるかどうかは確認したいポイントですし、食事に介助を必要とされる方なら、入居者への食事介助がどのようになされているかを見学することも大きな判断材料となります。
この「昼食の時間帯での見学」のために、一日に見学するホームはできるだけ1件にするのもポイントです。
館内の写真を撮っておく
多くのホームでは、入居者のお顔や名前などの個人情報に触れない範囲で見学時の館内撮影を許可しています。事前に断ったうえで写真を撮っておきましょう。撮った写真をご本人に見せることで「疑似見学」をしていただけるのに加え、ご家族の備忘用にも役に立ちます。また昼食の試食時にも食事を撮り、味の感想と合わせてご本人に伝えるようにすると良いでしょう。
献立表や行事予定表など補足資料にも注目!
パンフレットや料金表、運営事業者の会社概要などの主要資料については、施設長や担当の入居相談員から詳しく説明がありますし、またご家族も気になった個所は質問されると思いますが、入居者のご家族向けに定期的に発行している「ホームだより」や献立表、月間行事予定表などの補足資料はサッと流してしまうことが多いです。
ぜひこの補足資料にも注目してみてください。
「ホームだより」では季節の行事報告や地域ボランティアの来館、新任スタッフの紹介など、現場のナマ情報が結構しっかり掲載されています。たとえば入居者の顔が写った行事写真などは誰でも閲覧できるインターネット上には載せられないため、表情や雰囲気がわかる資料として貴重な資料になり得ます。
献立表は最近、料理の写真付きでわかりやすいものが増えてきました。一人暮らしで食事はいつもお弁当…というご本人なら、厨房で調理された出来たての美味しそうなメニューに興味をお持ちになられるかもしれません。また月間予定表では、手芸や書道、外出レク…といった行事・イベントが掲載されていて、入居後の生活イメージが湧きやすいです。
先日の見学同行では予定表に「麻雀クラブ」があると知り、後日あらためてクラブ開催日に再見学したことがありました。入院中で見学に同席できなかったお父様は、麻雀が大好きな方だったのです。
ご本人にもしっかり見学していただくのが本来、理想ではありますが叶わない場合はどうぞご参考になさってみてください!
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