老人ホームまわりのコトバ辞典(1)
今回から新シリーズを始めます。タイトルどおり、老人ホームまわりで使われるさまざまな「コトバ」を辞典風に解説していきます。
単なる専門用語の語句説明だけでなく、単語の業界ならではの使い方やさまざまな略語、よく使われるセリフなど話し言葉もご紹介していきたいと思っています。
時には不適切に使われているコトバも紹介していきたいです。「ぼけ・痴呆症」が「認知症」に変わったように、従来の表現に替わる新しいコトバを皆さんと一緒に考える機会もあると良いですね。
「あ」から始まらず「ん」で終わらない点はご容赦のうえ、どうぞお付き合いくださいませ。
では、まいります。
ゆう‐ろう‐きょう【有老協】
公益社団法人全国有料老人ホーム協会の略。有料老人ホームの業界団体で、入居者の保護と業界の健全な発展を目的に1982年、社団法人全国有料老人ホーム協会として設立、2013年に公益社団法人へと移行。全国の有料老人ホーム運営会社が会員となっている(一部、サービス付き高齢者向け住宅の運営会社も)が、協会加盟は事業者に義務付けられているわけではないこともあり、平成26年度時点での加盟率は8.4%と高くない。
てあらい‐と‐うがい【手洗いとうがい】
高齢者施設に見学に行くと、玄関を入って「いらっしゃいませ」のあとに促される二つの行為。特に冬場はノロウイルスによる感染性胃腸炎やインフルエンザにかかる方が増えるため、入館時に徹底しているところが多い。
なおスプレー型のアルコール消毒液を玄関に設置している施設は多いが、ノロウイルス対策には効果がない。スプレー噴霧を手洗いの代わりとしていたり、共用の手洗いに石鹸・ハンドソープが置かれていないホームは感染症予防策への意識という点で疑問が残る。
にゅうきょ‐そうだんいん【入居相談員】
営業職のこと。有料老人ホーム業界の肩書呼称としてはかなり一般的に使われている。近隣の病院や介護事業所などを回って担当するホームの案内をしたり、見学者への館内案内から入居契約までのクロージング業務を主に行う。運営ホーム数の多い会社では入居相談員が複数のホームの担当を掛け持ちしていることも多い。
対外的な有料老人ホームの「顔」であり、ホームの印象を大きく左右することも多いが、前述のとおり業務は入居までとなっているところが多いため、見学時には施設長をはじめとする現場スタッフとも、「入居後」を想定した質問や確認を行うことが望ましい。
なお有料老人ホームによっては専任の入居相談員を置かずに施設長や生活相談員など現場スタッフが見学対応をするところもある。
第一回はこんなところで。少し不定期にはなりますが、毎回3~5ワードを取り上げていけたらと思っております。どうぞ長いお付き合いをよろしくお願いいたします。