老人ホームまわりのコトバ辞典(5)
さ-こう-じゅう【サ高住】
2011年秋の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)改正によって生まれた「サービス付き高齢者向け住宅」の略称。
サービス付きという名称のため、介護や食事の提供といった「サービス」が「付いて」いると勘違いしがちだが、実際この「サービス付き」が意味するのは「安否確認」と「生活相談」サービスのみ。
オプションサービスとして食事のサービスがあったり、併設した介護保険事業所を通じて介護サービスを受けられるサ高住が多いため、一見すると有料老人ホームと混同してしまう例も多いが、食事提供の有無やその方法、介護事業所の館内併設は事業者による任意であり、入居検討時には有料老人ホーム以上に確認すべき点は多いと言える。
かいごつき-と-じゅうたくがた【介護付と住宅型】
代表的な有料老人ホームの類型。この二つの違いを説明させることで有料老人ホームの入居相談員(営業職)や紹介センター相談員の初歩的な知識・技術を確認できる物差しにもなる。
(参照)
有料老人ホーム選びの落とし穴(3) 施設類型についての落とし穴
しんたい-こうそく【身体拘束】
高齢者施設等において、身体の自由を奪う行為。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅においても「生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き」原則禁止されている。
ベッドや車いすに縛り付ける、手指の機能を制限するために手袋(ミトン)をつけるなどの行為は「わかりやすい」身体拘束であるが、平成13年3月、厚生労働省発行の「身体拘束ゼロへの手引き」によると以下の行為も身体拘束にあたる。
・自分で降りられないようにベッドを柵(サイドレール)で囲む
・行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
・自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する
・立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
「また緊急やむを得ない場合」に該当する用件は切迫性、非代替性、一時性の三つ。このすべてを満たすことが必要とされている。
切迫性…利用者または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い場合
非代替性…身体拘束以外に代替する介護方法がないこと
一時性…身体拘束は一時的なものであること
きゅうじゅうにち-るーる【90日ルール】
平成24年4月の老人福祉法施行規則改正によって法制化されたもので、短期解約特例制度とも呼ばれる。
入居した日の翌日を起算日として90日以内の退去についてはその理由の如何を問わず、入居時に支払った前払金は、滞在日数分の日割実費分を除き、初期償却額も含めて返還されることが定められた。
また入居契約書で退去の申し出を「ひと月前まで」等と定めている場合であっても、90日以内の場合はルールが適用される。