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2020.03.26

有料老人ホームを見学する前に希望条件を整理しましょう(4)サービス内容

依然として終息の見通しが立たない新型コロナウイルス。有料老人ホームでも見学の休止や制限が続いています。こんな時期だからこそ、希望条件をきちんと整理する良い機会ととらえてみてはいかがでしょうか。

第4回目となる今回は、「ホームに求めるサービス内容」という観点から、希望条件を整理してみましょう。

夜間の看護職員は必要か

お口からの栄養摂取ができないという方で、胃ろうにされている方については日勤帯のみの看護職員常駐ホームでも受入可というホームが増えていますが、経鼻経管栄養の方、中心静脈栄養の方については看護職員が夜間も含め24時間体制で常駐しているホーム(以下24看ホーム)でないと受け入れが難しくなります。

また気管切開の方も24看ホームでないと受け入れができません。痰の吸引が定期的に必要となることも大きな理由ですが、この痰の吸引については気管切開の方でなくても定期的に必要となる方は24看ホームでないと受入が困難です。

痰の吸引と経管栄養については「喀痰吸引等研修」を受講することで、介護職も実施可能となりました※が、研修を修了した介護職員を週7日通して夜間に配置することは現実的には難しく、実質的には「夜間も痰吸引が必要な方は24看ホームでないと対応ができない」と考えておく必要があります。※喀痰吸引等研修は第1号研修から第3号研修まで3種に分かれており、対象者や原因となった疾患、吸引ができる部位などが異なります。

入居を検討する時点でこれらの「医療行為」を必要とされる方は24看ホームが見学候補先となります。なお一般的に介護職より人件費の高い看護職を24時間体制で常駐させるとなるとコストが大きくなり、それは月額利用料に反映されることとなります。

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認知症の症状は入居審査に影響?

「認知症の症状は、ホームにあまり正直に伝えすぎると入居を断られたりしませんか」とよくご家族様から聞かれるのですが、結論から申し上げると認知症の症状によって入居NGとなるケースはほとんどありません。

逆にホームからは「入居されておられる方の半数くらいは何らかの認知症の症状をお持ちです」と言われることの方が多いくらいです。

鍋焦がしなどから火事が心配、昼夜問わず外に「お出かけ」されてしまい何度も交番で保護、訪問販売の人に不要なものを売りつけられた…など在宅での生活継続を困難と判断される要因に認知症の症状を挙げられる例は少なくありません。有料老人ホームの現場での認知症は、むしろ普通のことと言えます。ぜひ見学の際にはありのままのご様子を伝え、「家族として困っていること」を伝えられると良いかと思います。

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認知症の症状が入居NGとなるケースとは

さて前項で「ほとんどありません」とお伝えした認知症NG事例ですが、私が承ったご相談で過去に何度かありました。この場合のキーワードは「自傷他害」です。

自らを傷つけてしまう「自傷」や他の入居者や職員への暴力・暴言など「他害」があると入居NGとなってしまうケースがあります。特に他害の対象が要介護高齢者である他の入居者に向かうケースでは、生命の危機に関わることもあり、ホーム側も慎重な判断を求められることになります。

余談になりますが、女性職員へのセクハラ言動のある方についても慎重になるホームが増えている印象があります。ホームにとってその入居者を受け入れることで現場の職員が辞めてしまってはその方が痛手になりかねないということです。入居されるのはお一人ですが、その言動によって退職する職員は一人とは限りませんよね。

リハビリ専門職が常駐する意味

入院先の病院などで行ってきたリハビリを、有料老人ホームに入居した後も継続して「立てるように歩けるように食べられるように」と希望されるご相談もとても多いです。近年ではリハビリ職を常勤職員として配置したリハビリ体制の強化を「売り」とするホームも増えてきました。

理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったリハビリ専門職が常勤で在籍してリハビリ計画からその実施、効果を確認しながら身体機能の評価までを行い、結果として「立てるように歩けるように食べられるように」なったという実績をまとめて公表しているホームもあります。

また身体機能の評価を介護職と共有することで、日常の身の回りのお世話にもリハビリの要素を取り入れやすくなります。

リハビリ計画の策定→リハビリ実施→身体機能の評価→介護職への落とし込み→リハビリ計画の再策定→…とリハビリが点ではなく線で繋がる体制がリハビリ職員常駐ホームの利点になります。

積極的なリハビリを希望される方は、リハビリ専門職が常勤しているかどうかを一つの目安にされると良いでしょう。専門職の中には上記のほか、あんまマッサージ師や柔道整復師を配置しているホームもあります。

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なお言語聴覚士は国家資格となったのが1997年と新しく、有資格者数も全国で約32,000人(昨年3月時点)とまだ多くありません。言語や音声、嚥下といった言語聴覚士領域のリハビリを希望される場合は、言語聴覚士が「常勤」するホームだけでなく、週に1度程度来館する「巡回」のホームも合わせて選択肢に含めると良いでしょう。そのうえで見学のときは「常勤」と「巡回」にどのような差があるのか確認してみてください。

レクリエーションは外出系で差が出やすい

サービスの最後はレクリエーションです。有料老人ホームへの入居を検討されている方は通所型の「デイサービス」を利用されている方も多いのですが、有料老人ホームでのレクリエーションはデイサービスで行われているものとよく似ています。

子供のころから親しんできた塗り絵や書道など「一人でできるもの」や、頭を使う「脳トレ」目的のもの、風船バレーや輪投げなどのスポーツ系、カラオケやホットケーキ作りなどの「お楽しみ系」などは頻度の差こそあれたいていの有料老人ホームで実施されています。

差が出るのは外出系のレクリエーションです。ホームによっては全くないところもあります。この場合、入居者の館外への外出はご家族などの面会時に一緒に出るときくらいということになりますね。

近隣の公園などへの散歩レクのほか、春の桜や秋の紅葉、お正月の初詣など季節行事としての外出に加え、スーパーマーケットなどへの「買い物レク」や喫茶店やファミリーレストランなどでの「スイーツレク」など多様な外出系レクリエーションを用意しているホームもあります。

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ご性格にもよりますが、館外へのお出かけは気持ちもリフレッシュできて楽しいという方は多いものです。どのような外出系レクリエーションが行われているかという観点でホームを評価することで絞り込みが進むこともあるのではないでしょうか。