有料老人ホームを見学する前に希望条件を整理しましょう(1)月々の予算
新型コロナウイルスの影響により、外部者の立入制限の一環で施設の見学も当面の間中止する運営会社が出ています。
施設入居を検討するにあたり、現地への見学は外すことのできない要素で、私たちウィルホームコンサルプラザでも一日も早い終息を願っていますが、少なくとも3月末までは現在の対応を継続するところが多いようですね。
「見学は入居検討にあたって欠かせない要素」であることは間違いないのですが、「まずは見学に行かないと何も始まらない」わけではありません。今回のシリーズ「有料老人ホームを見学する前に」では、見学前に整理しておきたい「希望条件」をテーマ別に考えていきたいと思います。第一回目の今回は「月々の予算」といたします。
一番最初に考えなくてはならない項目
有料老人ホームへの入居を検討するときにまず最初に考えなくてはならない条件は月々のご予算です。有料老人ホームに資料を請求するとパンフレットの中に料金表が入っていますが、この料金表に掲載されている「月額利用料」は主に家賃・管理費(共益費)・食費から構成されています。介護の費用や医療費・薬代、オムツなどの消耗品費は含まれていません。
(1)介護の費用
詳しくは以前の記事「有料老人ホーム選びの落とし穴(2)」も合わせてご参照いただきたいのですが、要介護度ごとに介護費用が定額となっている介護付有料老人ホームの場合、ひと月にかかる介護費用は要介護2・自己負担割合が1割の方で約2万円で、要介護度がひとつ重くなるごとに自己負担額は約2,000円ずつアップします。要介護5になったときのことを考えると約26,000円ほど見ておく必要があります。(このほか人員体制等による一定の要件を満たしたホームには数百円~数千円程度の「加算」が加わります)
要介護度ごとの介護費用は介護付有料老人ホームの場合は料金表に併記されていることが多いので合わせて確認ください。
(2)医療費
医療費は、訪問診療の費用を考えておく必要があります。有料老人ホームでは協力医療機関の医師が定期的に(多くは月に2回)ホームを訪れ入居者の健康管理のための診療を行います。この訪問診療の費用が月3,000円程度(後期高齢者医療保険1割の方)かかります。なお服用しているお薬がある場合、お薬代は今負担している金額とおおよそ同じ金額が入居先のホームでも必要です。
(3)おむつなどの消耗品費
おむつやリハビリパンツは入居時には使用していなくても、将来使うことになるかもしれない…と想定しておいた方が良い費用です。市区町村から助成を受けられるケースもありますが、多く使われるようになると月に10,000円~15,000円ほどかかることも珍しくありません。
(4)居室の水道光熱費
多くの有料老人ホームではトイレ・洗面のほか照明やエアコンが備え付けとなっていますが、これらにかかる水道光熱費を個々の居室に取り付けたメータにより実費分を別途徴収するホームもあります。特に電気代は季節によってエアコンの使用量が異なることから変動がありますが、夏冬のエアコン使用量が多い季節で月額5,000円程度かかることが多いようです。(管理費に居室の水道光熱費を含み、居室の電気水道代は別途不要としているホームもあります)
つまり介護付有料老人ホームで要介護5になり、訪問診療を月に2回受診し、おむつもたくさん使うようになったときには月額利用料に約5万円ほど上乗せした費用が月々かかるということになりますね。
将来、要介護度が重くなっておむつもたくさん使うようになったときでも、コミコミの費用は20万円以内で抑えたい…となると逆算して「月額利用料」が15万円前後以内のホームを選ぶ必要があるということになります。
まとめ
月々の予算は、要介護度が重くなったときにどれくらい費用が掛かるかを想定して設定しましょう。
介護費用、医療費・薬代、オムツ代などの消耗品費は、月額利用料に含まれていません。要介護度は重くなるたびに自己負担額が増えますし、おむつもたくさん使われると1万円以上かかることも珍しくありません。
介護付有料老人ホームの場合、介護保険・医療保険ともに負担割合が1割の方なら月々の(最大)予算額は月額利用料+おおよそ5万円をひとつの目安に検討されると良いです。
次回は前払金(入居金)プランについて考えてみたいと思います。