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2018.05.15

前払金は0円のホームを選ぶべきか問題

有料老人ホームというとひと昔前までは数百万円~数千万円の前払金が入居時に必要なところが多かったのですが、ここ最近では前払金0円というホームが増えています。

前払金は最大のバリア!?

 

バリアフリーという言葉がありますが、ある高齢者ホームの経営者の方から以前、有料老人ホームの最大の「バリア」は前払金という経済的障壁ではないだろうかと伺ったことがあります。確かに入居時に一括で用意する必要のある前払金は、入居を検討する方にとって最初にぶつかる、多くの方にとっては最大の障壁です。まとまった費用を入居時に用意することが難しいという方にとって、前払金0円で入れるホームが増えたのはありがたいことですね。

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前払金は長生きリスクへの備え

そもそも前払金は、入居時に家賃を前払いすることによって月額費用を下げ、長生きリスク(長生きすればするだけお金がかかる)に備えるための仕組みです。75歳の方が80歳で亡くなるのか100歳を超えて長生きするのかは誰にもわかりません。80歳で亡くなられた場合は5年分ですが、100歳まで長生きされると、生活を継続するためのお金は25年分もかかります。

年金を主な収入源としている高齢者は、月の支出額が年金額を超えると、その分は預貯金などの資産を切り崩して生活することになります。超える額が大きくなればなるほど、「長生きリスク」が大きくなるということです。

そこで家賃の数十か月分を入居時に前払いすることによって月額利用料を下げ、年金の枠の中に収める、または近づける前払金方式という料金形態が生まれたのです。

 

例えば…

 

前払金は0円   月額30万円(月払いプラン)       月額のうち家賃が10万円

前払金は750万円 月額20万円(入居金プラン)       家賃10万円は60か月分前払い

という二つのプランを持つ有料老人ホームに年金月額が20万円、預貯金を1,000万円お持ちの85歳の方が入居された場合を例に考えてみましょう。(わかりやすくするため例は単純化しています)

月払いプランの場合、年金月額との差額10万円が預貯金から持ち出しとなります。1,000万円の預貯金が尽きるのは100か月後ということになります。約8年ですね。

一方、前払金プランの場合は入居時に1,000万円の預貯金は250万円に減ってしまいますが、月々の費用は年金で収まるため長生きリスクを避けることができます。

 

前払金プランのリスクとは

 

では長生きリスクを避ける(軽減する)ことができる前払金プランにはリスクはないのでしょうか。

…残念ながらあります。

上記の例をもう一度見てください。前払金プランは家賃10万円を60か月分前払いしているのですから前払金は600万円となるはずですが、実際には750万円となっています。この差額150万円がリスクの元です。

前払金は、家賃の前払い分に「想定居住期間を超えて入居が継続した場合に備えて受領する額」を加えたものです。上記の例だと150万円がそれにあたり、一般的には初期償却と呼ばれています。

家賃の前払い分は、60か月未満での退去時、たとえば40か月経過時の退去の場合残りの20か月分が返還されますが、初期償却分は返還されません。その代わり、入居してからの期間が61か月目に入っても月額費用は20万円のままで、61か月目以降は月額家賃10万円をホーム側で持ちますよという仕組みなのです。

つまりこの初期償却は、前払金プランを選択した入居者から一律で徴収し、「想定居住期間」(この場合は60か月)を超えて入居が継続した方の家賃相当分に充てるためのものということになります。ということは想定居住期間前に退去された場合、言葉は乱暴ですが「払い損」ということになります。

逆にいうとホームの定めた想定居住期間をマットウできる可能性が高ければ、前払金プランも検討の余地ありということになります。おおよそ想定居住期間(+数か月)のタイミングあたりを境に、ホームへの支払総額は月払いプランが逆転し、その差は月額費用の差額分だけ毎月開いていくことになります。

まとめ

 

つまり前払金という仕組みは、それ自体否定されるものではありません。入居時に一度だけ、まとまった費用をご用意いただける方の場合は、「想定居住期間」と身体状況を勘案して検討されると良いと思います。

またホームによっては前払金プランに初期償却がかからない設定にしているところも出てきました。この場合、入居時に家賃を先払いするリスクは大幅に軽減されます。※

想定居住期間未満で退去された場合は未償却分がそのまま戻ってきますし、想定居住期間を超えて入居が継続(長生き)された場合も追加金は不要で月額費用もそのままということになります。

※ホームが倒産などで事業を継続できなくなった場合、入居者から預かった前払い分の保全が十分にとられていないと、これはリスクになり得ます。前払金の保全措置については「重要事項説明書」に詳しく記されています。合わせて確認されることをお勧めします。