同じ会社の運営する別ホームも見学するべきか問題
同じ市内にある、どちらも同じ会社が運営する2件の有料老人ホームがあったとき、どちらか1件を見学すればもう1件は見る必要がないと思いますか?
「べきか問題」シリーズ、今回は同じ会社の運営する有料老人ホームを見学するべきかどうか考えてみたいと思います。
同じ運営会社であれば基本的な運営の方向性は同じ
同じ会社が運営する有料老人ホームであれば、入居者に対してどのように接し、どのような姿勢でサービスを提供するのかといった方向性や理念は基本的に同じです。(複数のブランドを持つ運営会社ではブランドごとにコンセプトを策定しているところもあります)
建てられた時期や館内のフロア設計はそれぞれもちろん異なりますが、基本的な方向性が同じであればパンフレットや料金表を見て「家から近いほう」、「費用が少しでも安いほう」、「居室面積の広いほう」など希望条件に合わせていずれか一つを見学、気に入った場合は他社の運営する別のホームと比較してどうか…と考えてもよさそうに思えますね。
同じ運営会社であってもそれぞれ別のホーム
しかし有料老人ホームはたとえ運営する会社が同じでもそれぞれ別のホームです。予算や立地が許容範囲であれば、ぜひ見学に行かれることをお勧めしたいと思います。以下、同じ会社の有料老人ホームを比較するときのポイントをまとめてみます。
スタッフを見ましょう
スタッフの皆さんの動きや言葉遣い、接遇などは同じ会社の運営するホーム同士でも結構異なります。館内見学時には建物や設備だけでなく、スタッフの皆さんにも注目されると良いでしょう。
入浴介助・排せつ介助・食事介助を「3大介助」というそうですが、前者2つは館内見学時に様子を確認することが難しいですが、食事の介助は食事の時間に合わせて訪問すれば見学することができますよ。
入居者を見ましょう
入居を検討している方がお父様であれば、男性の入居者がどれくらいおられるかは確認しておきたいですね。囲碁や将棋など相手が必要な趣味をお持ちの方であればそのようなサークル活動があるかどうか聞いてみるのも良いと思います。
またお身体の状態やご年齢などが近い方がどれくらいいらっしゃるか…も入居後の生活のことを考えれば確認しておきたいところです。
なお食堂に入居者が集まるお昼時に合わせて見学すると、男性の方の割合や、食事に介助を必要とされる方の人数、食堂全体の雰囲気などが分かりやすいです。
2件目の見学時には1件目との違いを特に確認
費用や立地などは事前にパンフレットで調べられるので、ここでいう違いとは入居者の平均要介護度やそれに伴うレク内容の違いの有無など、パンフレットでは確認できない項目について聞いてみることです。介護度が重く、車いすなどを使っても外出することが困難という方が多ければ、館内で行われるレクリエーションも、「そのような方にもお楽しみいただける」内容になりがちです。
同じ入居相談員さんに案内をお願いしましょう
複数のホームを持つ有料老人ホームの運営会社の中には、ホームごとに担当の相談員を決めているところもあります。しかし1件目と2件目で別の入居相談員さんに案内してもらうと、2件の見学が分断されてしまいます。入居相談員さんも1件目のホームで自らが伝えた特徴や魅力と、それに対するご本人・ご家族の評価を踏まえて2件目のホームを案内できるので案内にもモレが生じにくく、スムーズなご案内がしやすいのではないかと思います。
「難しい違い」もうやむやにしないこと
介護付と住宅型…類型の違いや、月払いプランと前払金プラン…料金体系の違い、前払金プランの場合は初期償却の有無やパーセンテージ…返還金制度の取り扱いの違いなど、業界の制度やルールを詳しく知らないと「違い」の内容がわかりにくいものもあります。
理解できるまで何度でも、納得がいくまでしっかりと説明を受けてください。そうしないと適切な比較ができないからです。
紹介センターの相談員にも言えること
いかがでしたでしょうか。同じ会社が運営する有料老人ホームを見学することの利点がお分かりいただけましたでしょうか。
実はこれ、私たち有料老人ホーム紹介センターの相談員にも同じことがいえると思います。A社のホームをどこかで一か所見たことがあるだけで、同じA社の別ホームを未訪問のまま「わかっているつもり」で相談者にご案内するべきではなく、その場合は少なくとも相談者の見学に同行するべきではないでしょうか。