私たちが見学のときに確認していること(2)
前回は施設長がどのような方かを確認することの大切さについてご紹介しましたが、今回はホームの提供サービスのひとつに焦点を当ててみたいと思います。
「外にお出かけする行事はどの程度実施されていますか?」
有料老人ホームでは、日常生活を楽しく快適にお過ごしいただくためにさまざまなアクティビティが行われていますが、ここにも注目すべき点があります。
季節の行事や誕生会のほか、入居者の皆さんが集まって行う体操や職員さんと一緒に行うおやつ作りなど、館内で行うことのできるアクティビティはどこのホームでもある程度充実したメニューが用意されていますが、外出系の行事については、ホームによって結構差が出やすいのです。
なぜなら外出系の行事では、行事に参加する入居者に同行するスタッフと、館内に残る入居者のお世話をするスタッフが分断されてしまうからです。入居者に同行して外出したスタッフは、当然ながら居室からのコールを受けることも、訪室してトイレ介助に入ることもできません。
つまりぎりぎりの職員体制では、外出系の行事は行いたくても行いづらいということになります。館内の中庭やホーム玄関先などでの日光浴くらいが精一杯というホームは少なからずあるんですよ。
逆に外出行事の多いホームは職員配置に余裕があり、近隣に適した散歩コースや公園があるなど周辺環境にも恵まれているのでは…と考えることができます。
また要介護度の重い入居者が多いホームでは、館内行事もそのような方でも楽しんでいただけるものになりがちです。お元気な方が物足りなく感じないような企画上の配慮があるかどうか、確認すると良いでしょう。
ホームではよく行事の様子を撮影した写真を居室フロアの壁などに掲示していますから、見学の際には少し足を止めてみると良いです。外出行事を多く実施しているかどうかは、それらの掲示物でも確認ができますし、写真を見れば参加された方の表情などもわかりますよね!
サービス付き高齢者向け住宅での外出行事
「安否確認と生活相談」サービスが付いた高齢者向けの賃貸住宅である「サービス付き高齢者向け住宅」。
高齢者が暮らすことを前提にした「建物がバリアフリー設計になっている、入居者全員が高齢者の賃貸アパート」をイメージしていただくとわかりやすいのですが、これに安否の確認をしてくれて生活相談に乗ってくれる職員が少なくとも日中常駐しているというのがサービス付き高齢者向け住宅のベースです。
アパートの管理人さんが入居者の誕生会を開いてくれず、花見の時期に公園まで連れて行ってくれないのと同じで、サービス付き高齢者向け住宅では外出行事はもちろん、館内全体での行事を行わないところも少なくありません。「入居金の要らない有料老人ホーム(みたいなもの)」としてサービス付き高齢者向け住宅をとらえるのは大きな誤解です。
有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いについては各所で私たちが行っている出張講演でも詳しくお伝えしています。近隣のご友人を集めた茶話会で、ご依頼いただいた方のご自宅に伺ったこともありますし、地域包括支援センター様などからエリアのケアマネジャー様向けにお話させていただいたこともございます。出張費や講演費などは一切いただいておりませんので、ご関心をお持ちの方がおられましたらお気軽にお問い合わせください!