1日に何件も有料老人ホームを見学してはいけないこれだけの理由その2
さて前回、1日に何件も見学をしない方がいい理由として「同じ条件で見学できない」ことを挙げ、一例として昼食の時間と昼食後の時間とでは見学の際に確認できることの多さに大きな違いがあることをご説明しました。実はこのほかにも理由があるのです。
■個々の見学の印象が薄れてしまう
映画を立て続けに3本、4本と観るような感じ…というと分かりやすいでしょうか。恐らく映画がお好きでよくご覧になる方でも一本一本の印象は薄れてしまうのではないかと思います。
ホーム見学を何度か経験しておられる方ならまだしも、初めての方にとって何件ものホームを1日に見学して、館内で聞いた説明や見た内容をそれぞれしっかり整理して比較検討の材料にするのは簡単なことではありません。
余談ですが市販の有料老人ホーム関連書籍の中には、見学時のツール(道具)としてマルバツ式の「見学時チェックシート」を付録としてつけているものもあるようですが、チェックする項目や重視する項目は当然ですが個々に異なります。○がいくつ付くか、✕がひとつも付かないかどうかに拘泥してしまうとホーム探しも迷走してしまいます。
見学したホームの整理ができないと結局頼るのは「数字で表せる情報」ということになります。「費用」、「居室面積」、「自宅(または最寄駅)からの所要時間、距離」といった項目です。これらはわざわざ見学に出向かなくてもパンフレットに載っている情報で、結果として見学に行った意味があまりなかったということになります。介護などのサービス(ソフト)を受けるためのホーム探しを、物件概要的情報(ハード)だけで決めてしまうのが大きなトラブルの元になることは言うまでもありません。
見学を日に1件にすれば、家に帰ってからの整理も比較的容易にできます。しっかりと見学したホームの情報整理ができれば、別の日に行った2件目のホームでは1件目のホーム情報をひとつの「物差し」として使えます。
「こないだのホームに比べると職員の動きがキビキビしていて入居者の表情もすっきり明るいなあ」、といった比較をしての感想は、既に見学したホームが「物差し」として機能していないと意外に出てこないものなのです。(次回、「1日に何件も有料老人ホームを見学してはいけないこれだけの理由その3」に続きます)