VR認知症体験会に参加しました!
3月7日、そんぽの家 川崎幸町にて行われたVR認知症体験会に出席してきました。
そもそも、今話題のVR(バーチャルリアリティ)とは何かといいますと…(以下、SONYさんがわかりやすくまとめていらっしゃるので、拝借します。)
‶バーチャルリアリティ(VR)は、"もうひとつの現実"を作り出す技術の総称です。
コンピュータでCGや実写の3D空間を描き出し、映像と音響により仮想世界を創出。
ヘッドセット等を装着すると、その世界に入り込み、まるでその場にいるかのような体験を味わえます。″
(引用元:https://www.jp.playstation.com/blog/detail/3165/20160614-psvr2.html)
VRのソフトでよくメディアで取り上げているのは海底に潜るようなものや、あの有名なゾンビのゲーム『バイオハザード』…などですが、今回はVRを使って認知症の症状を体験し、理解を深めようという企画です。
認知症の症状やその症状の出方は人によって様々ですが、実際に認知症の症状をお持ちの方の体験談を取り入れたストーリーを体験できます。(現在は4話ですが、現在新しいストーリーも制作中だそうですよ。)
このVRコンテンツを企画開発をされた株式会社シルバーウッドの代表取締役 下河原忠道さんにお越しいただき、いよいよ体験会スタートです!
外側はスマートフォンがついていますね。こちらと、ヘッドホンを装着します。
実際につけた時の動画や画像をお見せすることができないので、ここからはネタバレしない程度に私の拙い解説で失礼します…。
(これからVRを体験される方は、ここから先読まない方が楽しめるかもしれません。笑)
装着すると360度、風景がつながっており、そのストーリーの中に迷い込んだ感覚に陥ります。
1話目
認知症体験1話目は電車に乗った女性のストーリーです。
電車に乗って、うとうとしてしまい、目が覚めたら自分がどこの駅にいるのかわからないというシチュエーションから始まります。
(▼youtubeにサンプルの動画がありましたので、気になる方はご覧ください。)
動画では平面的に見えておりますが、機器を装着すると、右を向けば右隣に座っている人が鮮明に見え、さらにもっと首をグイッと回し窓の外をのぞくと、車窓の風景が電車の速度に合わせて流れるように映るのです。
す、すごいの一言です。
途中、主人公の女性が立ち上がって電車から降りるシーンがあるのですが、その動作に合わせて目線が高くなり、歩くと景色も変わります。
最初のうちは慣れなくて酔いそうになりました。
出てくる人も、景色もあまりにもリアルで自分だけど自分じゃない、夢の中のような感覚がしました。
2話目
2話目は高所恐怖症の私にとって、ヒヤッとする内容でした。
視空間失認の症状をお持ちの方のお話をもとに作られたストーリーだそうで、実際の景色が脳内で違う景色に塗り替えられているのですが、周りの人の声はちゃんと耳に届くようになっているのです。
あんな風に見えたら誰だって嫌がると思い、VRで映像を見てようやく「行きたくない。」「やりたくない。」と拒む気持ちを理解することができました。
3話目
3話目はレビー小体型認知症の方によくみられる幻覚のお話です。
いるはずのない人が立っているのを見た時にはホラー映画のようでした。
消えるまでその人が幻視なのかわからないほど、本物のようにはっきりくっきり見えます。
4話目
4話目は認知症の症状が現れたおじいさんとその家族のお話で、誤った対応をしたケースと正しく理解し接したケースの2パターンをストーリー仕立てにしてありました。
ここでは一部、主人公のおじいさん目線で物語が進むので、ペンがないと息子に言った際に「何言ってんだ」と冷たく言われたり怒鳴られたりする場面では実際に叱られているような感覚になりストレスすら感じられます。
体験まとめ
今まで認知症の症状がある方の周りの方(ご家族や医師の方、介護従事者など)あるいは当事者のお話を聞いて、症状やどう対応したら良いか、少しばかり知識を持っていたつもりでいました。
今回VRという最新のテクノロジーを用いることにより、「こういうことらしい」と人の体験として憶測で考えていた事象を自分の体験にすることができ、これは凄いなと思いました。
それと同時に誤解していたこともあったなぁと思い、今回の体験を踏まえて今後はより具体的に「今、この方はこんな風に見えているのかなぁ?」「もしかしたらこんな状況なのかも。」と具体的な想像が脳内で映像として浮かび、今までよりもお気持ちに寄り添えるのではないかと思いました。
今後認知症の症状をお持ちの方がどんどん増えて行くことを考えれば下河原さんが仰っていたように介護に携わる人だけではなく、全ての人に体験していただきたいなと思いました。
こんなこともおっしゃっていました。
「理解や共感されにくいのが認知症。問題なのは認知症の人ではなく認知症の人が生きづらい社会だ。」
私たちが正しい知識を持ち、接することで認知症の方の症状の進行を緩やかにすることもあるかもしれません。
私共はこれからも皆様のお役に立てるよう、日々学んでいきます。
VR認知症プロジェクトにご興味のある方はこちらもご参照くださいませ。http://www.silverwood.co.jp/vr/