有料老人ホーム選びのポイント実践編(1) 「費用」
有料老人ホームの入居を具体的に検討することになったとき、見落としてはいけないポイントがいくつかあります。今回の新シリーズでは、これら大事なポイントをテーマごとに解説していきたいと思います。
第1回は最も気になる「費用」についてです。
もちろん入居金(前払金)や月額料金はパンフレットに掲載されているのですが、さてそれ以外にどのようなことを確認したらよいのでしょうか。
・償却方法と期間、初期償却の有無を確認
入居時に入居金(前払金)を必要とするホームでは、入居金の金額だけでなく償却のこともしっかり確認する必要があります。入居金と初期償却、返還金の関係については「よくあるご質問」ページのQ5にまとめていますのでご参照ください。
なお入居後90日以内の退去の場合、初期償却分も含めて日割の滞在費用を除いた前払金が全額返還される規定(業界では90日ルールと呼んでいます)がありますが、有料老人ホームの中には入居時費用の一部を「入居準備費用」などの名目として返還対象に含めず、入居時に全額償却してしまうところもありますので注意が必要です。
・食費の精算
面会に来た家族と外で昼食を食べたり、旅行で数日外泊したり、入院したりした時の食費の精算方法も有料老人ホームによってまちまちです。
喫食分のみの請求で、食べなかった分は一食ごとに全額返還精算するところもあれば、精算が1日単位で、3食のうち1食でも召し上がると1日分の費用がかかるところもあります。
また食費を厨房管理費と食材費に分け、入院などで1か月まるまる食事を召し上がらなくても厨房管理費相当分は返還されないとするところもあります。
・居室の水光熱費
月額管理費の中に含んでいるホームと、居室ごとにとりつけられたメーターで実費分を別途請求としているホームがあります。どちらが良い悪いということではないのですが、自立高齢者の方を主対象としたホームではほとんどが別途実費請求型、要介護高齢者が多いホームでは逆に管理費の中に含めているところが多くなっています。
・介護費用
介護付有料老人ホームの場合は、要介護度によって介護保険の費用は定額となっています。住宅型有料老人ホームでは必要とする介護サービスを、原則は要介護度ごとの限度額の中に収めてケアプランを作り、ご自宅で介護保険を利用するときと同じく、訪問介護など在宅系の事業所と個別に契約してサービスを受けることになります。
要介護度と自己負担割合(一定以上所得者は2割負担)が同じなら介護費用も定額で同じなのが介護付、同じ要介護度でも希望する介護サービスの種類と量によって介護費用が違い、サービス量が要介護度ごとの限度額を超えると自費負担となる可能性があるのが住宅型ということになります。
また限度額は介護付有料老人ホーム(介護保険上は「特定施設入居者生活介護」というサービスになります)と、訪問介護など在宅系のサービスを組み合わせて利用する住宅型有料老人ホームとで異なります。
要介護度が軽いうちはそう変わらないのですが、例えば最も重い要介護5の方が限度額まで介護保険を利用した場合、自己負担1割の方で約1万円ほど、住宅型有料老人ホームの方が負担額が大きくなります。
・重要事項説明書をしっかり読むこと
入居金と月額費用を見るだけでは「費用」の実際はつかめないということがおわかりいただけたでしょうか。
今回の記事で触れた費用のことや入居後に受けられるサービス内容、職員体制など、大事なことは「重要事項説明書」という書面にすべて記載されています。
パンフレットを取り寄せるときに一緒に送ってもらうか、見学時にもらうと良いでしょう。読んでみて意味の分からなかった箇所は入居前にしっかりと確認しておくことが大切です。
次回は「医療機関との連携」という視点から、気を付けるべきポイントについて解説します。