サービス付き高齢者向け住宅の選び方(1)
「サ高住(さこうじゅう)」をご存じでしょうか。名前だけは聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないかと思います。サービス付き高齢者向け住宅という正式名称が長いので、この「サ高住」という略称で呼ばれることが多くなっています。
この「サ高住」は、2011年秋の高齢者住まい法改正によって誕生した、制度としてはまだ新しい「高齢者の住まい」です。ただし既存の「有料老人ホーム」と混同されやすいことから、
・入居金がいらない有料老人ホーム(みたいなもの)
・月々の費用も有料老人ホームより圧倒的に安い
・元気な高齢者しか入れない自立者向け住宅
…といった誤解を持たれがちです。私たちウィルホームコンサルプラザにも、「予算が厳しいので(有料老人ホームではなく)サ高住で探そうと思うんですが」と相談に来られる方が結構おられます。
今回の連載では「サ高住」とは何かという点を踏まえ、その選び方について綴ってみたいと思います。
サ高住とは何か
サ高住は前述のとおり高齢者住まい法改正によって新しく制度化されましたが、改正にあたり制度化の前にあった高専賃(高齢者専用賃貸住宅)/高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)などを統合しています。
この高専賃/高円賃のキモは、「高齢であることを理由に入居を断らない賃貸住宅」であるという点で、これは新制度であるサ高住も踏襲しています。
つまり、高齢者が自宅を処分するなどして新たに賃貸住宅を借りようとするときに「高齢であることを理由に入居を断られる」事例が続出したことを受けて法制化された背景から、すべてのサ高住は、「高齢であることを理由に入居を断られることがない賃貸住宅」であるという共通点があるということになります。
そして「サービス付き」ですからサービスが付いているわけですが、そのサービスとは「安否確認と生活相談」です。厳密にいえば「安否確認・生活相談サービス付き高齢者向け住宅」ということになります。
…ということは、「サービス付き」という言葉で連想される「介護サービス」や「食事提供サービス」を指しているわけではないことになります。実際「サ高住自体」は介護サービスを提供しませんし、食事の提供は多くのサ高住でオプションサービスとなっており、そのオプションも「夕食のみ」や「昼夕のみ」など三食提供を行っていないところもあります。
今回の結論となりますが、サ高住とは何かといえば、「高齢であることを理由に入居を断らない賃貸住宅で、安否確認と生活相談サービスが付いた、高齢者のための住まい」ということになります。
少し長くなりましたので今回はこのあたりで。
次回「サービス付き高齢者向け住宅の選び方(2)」では、サ高住で介護サービスが必要となったときの利用の仕方を、介護付有料老人ホームと比較しながら解説してみたいと思います。