ホーム選びのワンポイント(2) 職員体制と建物の階数
介護付有料老人ホームの職員体制は、要支援・要介護の入居者3人につき介護・看護職員1名以上のいわゆる「3:1」以上であることとなっています。
入居者60名のホームであれば20人以上ということになりますが、ホームに見学に行っても同時に20人の職員が出勤しているわけではありません。この20人の職員が早番・日勤・夜勤・休日などシフトを組んで出勤するので、人員の少ない時間帯がどうしても出てくるということになります。
なおこの場合の20人は常勤換算という方法で数えます。例えば常勤職員の勤務時間が1日8時間×週5日×4週間=160時間のホームの場合、月に160時間働く人を1人と数えましょうということです。つまりパートなどで月に80時間だけ働く人が1人いれば、それは0.5人と換算することになります。
職員体制の表記については、基準通りの「3:1以上」のほか、手厚い順に「2.5:1以上(5人に2名)」や「2:1以上」さらに、基準の2倍の体制となる「1.5:1以上」まであります。人件費に直接反映されますので、一般的に職員体制が手厚いホームほど月額費用は高くなります。
さて注意いただきたいのは、この職員体制はホームの階数を考慮したものではないということです。
前述の例で言えば、たとえば1階建の平屋に全60室のホームでも、各階6室づつ10階建で計60人のホームであっても必要とされる職員は常勤換算20人以上で良いということになります。当然階数(共用部のみの階を除いた居室のある階の数)が多いホームほどフロアあたりの職員の数は少なくなることになります。
一般的に高層のホームでは要介護度の軽重でフロア分けがなされ、重介護者フロアに重点的に職員を配置する一方、自立に近い軽介護者フロアでは職員の数を減らして全体のバランスを取っていることが多くなりますが、夜間など人員の少なくなる時間帯には上下階の移動で職員の負担が大きくなるほか、将来館内全体の平均要介護度が上昇した時に、つまり軽介護者フロアの入居者が軽介護ではなくなった時にどうしても不安があります。
私たちがあまり積極的に高層ホームをお勧めしづらいのには、緊急時の避難の困難さのほかに、このような理由もあるのです。