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2015.12.03

運営事業者から考える有料老人ホーム選び(前編)

異業種からの新規参入が多い有料老人ホーム業界ですが、知名度の高い大手企業の参入が目立つ点も特徴といえるかもしれません。

つい先日もワタミ株式会社が、子会社であり業界大手の一社であったワタミの介護株式会社の全株式を損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社に売却し、介護事業から撤退するニュースがありましたが、このワタミ自身も、元は有料老人ホーム運営会社を2005年に買収して業界に乗り込んだ「新規参入組」でした。

レストヴィラ船堀 外観2
SOMPOケアネクスト株式会社に事業が譲渡された「レストヴィラ」 (画像は「レストヴィラ船堀(江戸川区)

 

有料老人ホームを選ぼうとするとき、入居金や月額料金などの費用と同じくらい気になるのが「運営会社はちゃんとした大丈夫な会社か、撤退などはしないか」という点だと思います。

有名な会社のグループ企業だから、親会社が上場企業だから…といった規模や知名度は運営会社を判断する一つの指標には違いありませんが、だからといってそれだけで判断できないのが難しいところです。

規模の大きな会社と小さな会社、どちらが良いのかという問いにはっきりとした答えはありませんが、それぞれの違いを把握しておくことは大切なことではないかと思います。

大手のメリット&デメリット

大きな会社(大きな親会社を持つ会社を含む)のメリットといって最初に思い浮かぶのは経営の安定度や企業としての信頼性といった点ではないかと思います。終の住処として入居を決めた有料老人ホームが倒産ということになれば、たまったものではありません。また「マトモな会社(またはそのグループ会社)なら、そうそうヘンなことはしないだろう」は一定程度、有効な判断基準になり得ると思います。

加えて資金的な余裕から職員教育(介護技術等の研修や接遇など)や、防災・災害時対策など「入居者募集に直接結びつかない」部分にも時間とお金をしっかりかけて取り組んでいるのは大きな企業ならではといえます。

また法令遵守への意識が高いことから、個人情報の管理や不正行為を未然に防ぐ仕組みなど、そのチェックも含め「組織としての体制」が整っている点も大きな会社が優れている点のひとつだと思います。

ニチイホーム板橋徳丸 非常時用井戸
大手ホームの敷地内に設けられた非常時用の井戸。万が一への備えは、高齢者の生活の場である有料老人ホームでは重要になります。

 

一方、デメリットとしては、組織が大きくなる分いわゆる「小回り」が利きづらくなる点が挙げられます。ホーム側に伝えた意見や要望が、施設長からエリア担当を経て本社のいくつかの部署を通過して…と何日経っても返答が帰って来なかったりすることは、小さな会社より起こりやすくなります。

また費用は周辺の競合他社より少し高めの設定になっているところが多いでしょうか。いわゆる「ブランド料」のほか、パンフレットもカメラマンやデザイナーがしっかり関わって良質なものを作りますし、インターネットや新聞などへの広告出稿も予算を割いて定期的に行っていますし、入居募集のための営業担当(相談員)をたくさん雇用すれば人件費もかかります。これら経費も費用に乗っているのが大手ホームの料金表ということになります。

さらに冒頭に挙げた例の通り、大きな親会社を持つグループ会社が運営する有料老人ホームの場合、親会社(や株主)の意向によって運営会社がグループ本体から「切り離される」こともあります。

山口県下関市に本社を持つ東証二部上場の企業が、100%子会社を通じて運営していた東京都荒川区の有料老人ホームも、わずか数年で運営企業が変わってしまいました。

事業譲渡などによって運営会社が変わった場合、費用や職員は変更なしで引き継ぐところが多いようではありますが、会社が変われば運営の方針や理念、入居者にどのような生活を送っていただきたいのか、そのためにはどうすればよいのかといった考え方も変わります。厨房委託業者が変わって食事の味が落ちた…とか職員配置を営業効率重視にしたことで外出レクの機会が減ったといった例もあります。

少し長くなりましたので、次回は小さな会社のメリット・デメリットについてお伝えしたいと思います。