入居金が高い有料老人ホームの方が安心?!(1)
有料老人ホームの費用について、よくご質問をいただきます。入居金0円で入れるホームと、数千万円の入居金が必要なところとは何が違うんですかというものです。
確かに同じ「有料老人ホーム」でも、費用体系はさまざまです。最近は入居金0円をうたうホームが増えてきましたので、入居時に数千万円の費用が必要なホームと何がどう違うのか、疑問に思われるのもごもっともですね。いったい何が違うのでしょうか。いくつかの要因からみていきたいと思います。
入居の主対象の違い
皆さんがお元気な高齢者だとして、有料老人ホームに入居するとなったらどのようなサービスを希望するでしょうか。
◎自宅と変わらない日常生活を過ごしたい
・ゆったりとした広い(1LDK~)居室に充分な収納
・キッチンや浴室、洗濯機置き場などは当然居室内に欲しい。
・外出や買い物、金融機関や病院など利便性の高い周辺環境
◎ホテルに泊まるときのように快適に暮らしたい
・食事サービス
・プールやフィットネスなどの設備・機器を利用しての健康維持
・クリーニングや旅行時のチケット手配、最寄り駅までの送迎サービス
◎施設や病院のように適切な職員が常駐する環境で万が一に備えたい
・介護が必要になったときの身の回りの世話
・医療面との連携
・終末期の看取り…
つまり人によって優先順位や重視する比率は異なるでしょうが、
(1)自宅と変わらない住環境で
(2)ホテルのような快適なサービスと
(3)介護が必要になったときの備え
を希望される方が多いと思います。お元気な方を入居の主対象としているホームの費用が高額になるのはこの(1)から(3)までをカバーしていることによります。またこのタイプの場合、入居対象者が自身で見学し、検討し、決断する方がほとんどです。
一方、入居の時点で身の回りのお世話が必要な方(要支援・要介護)を入居の主対象としているホームではどうでしょうか。
居室はキッチンでの調理や介助なしでの入浴が難しい方が多くなることからキッチンや浴室がないワンルームタイプ(15㎡~20㎡前後)のものが主流になります。
共用設備も、要介護入居者の身の回りのお世話に必要な機械浴槽など介護系の設備が占める割合が高くなります。カラオケや映画鑑賞などの娯楽は、専用室ではなく食堂と兼用の多目的ルームを利用することが多くなります。
ケアの部分に関しては認知症や高医療依存度対応、リハビリによる機能訓練などホームごとに特色は異なりますが、要介護度が重くなられてもサポートが受けられます。またこのタイプでは入居検討がご本人ではなく家族主導で行われることが多くなります。
このようにホーム側が主対象とする方がお元気なのか介護が必要な方なのかによって、求める広さや設備、人員体制が異なることが、費用の差となって表れるのです。
ほかにも有料老人ホームに費用差がうまれる要因があります。次回以降で詳しく見ていきましょう。